2回目。
前回の記事[LINK]から合わせてお読みください。
AIDSの治療に用いる医薬品は高くて貧困国では十分に流通させられない、という問題です。
ここでの着眼点は”
医薬品の特許”と”
医薬品の価格”です。
まず特許ですが、新薬の場合は当然ながら特許申請が認められ、その
有効期間は約20年。
価格については、薬価基準というものがあり、これは国が定めるものです。しかしライセンス料は加味されるので、結局のところ新薬はそれなりに高くなります。
これは新薬開発という企業にとってハイリスクな行為に対する補償であると言えます。
新薬開発はリスクが高いんです、とてつもなく。
そんなリスクを背負って完成させた新薬なんですが、一つ疑問が生じます。
パテントはどこが持っているのか?ということです。
医薬品の条件、それはもちろん(相対的に)
”効き目がある事”ですが、
”安定した生産体制であること”も重要な要件になります。
どんなに効き目があろうとも、製造が一か八か、なんてのは医薬品失格です。
前回にも医薬品開発の流れと言うものをざっと示しましたが、今回新たに
”製造”というファクターも加味されました。
即ち「候補化合物の探索及び非臨床試験」「生産体制の確立」「治験」。もっと単純に言えば
ラボと
工場と
病院です。
そしてそれらを取りまとめる「
企業」。
これらの中でどこがパテント取得者となり得るのか。
もちろん製薬企業本体です。
ここではあえて4つの事業所風に分けて書きましたが、この分類にした理由が
薬事法と密接に関係します。
薬事法には医薬品に関する
法的ガイドラインが存在します。
| GLP |
Good Laboratory Practice |
医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施に関する基準 |
| GCP |
Good Clinical Practice |
医薬品の臨床試験に関する基準 |
| GMP |
Good Manufacturing Practice |
医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理規則 |
| GQP |
Good Quality Practice |
医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準 |
| GVP |
Good Vigilance Practice |
医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の製造販売後の安全管理の基準 |
| GPSP |
Good Post-marketing Surveillance Practice |
医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施に関する基準 |
このうち、医薬品の製造販売を行うためには
GQPと
GVPの遵守が必要となります。
つまり、医薬品製造販売業者(医薬品販売元)は、品質管理と製造販売後安全管理の基準に適合していなければならない、と。
ここで着目すべき点は、
製造管理の基準に触れていないことです。
実は、平成14年に薬事法は大幅な改正を行ったのですが、その大きな変更の一つがこの部分です。
それまでの薬事法では製造管理の基準も準拠する必要があった、言い換えると
製薬企業は自前で製薬工場を持っていることが条件だった、と言う事です。
しかし改正薬事法ではその製造管理基準の部分が無くなった。
つまり、
製造部分はアウトソーシングが可能になったと言う事です。
さらに、製造販売業者の品質管理基準は、何も
自前で試験を行うと言うわけではない、という事です。
試験方法がしっかりしている、品質保証が十分であれば、品質管理もアウトソーシング可能です。
製造と品質管理試験がアウトソーシング出来る。
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