ワインの香り
2006-05-28


国民宿舎はらぺこ 大浴場[LINK]の「ワイン化学[LINK]」からのtb。
ワインの香りの科学(と甲州ワインの宣伝)について。

山梨の甲州ワインは香りが弱いらしい。
私は酒に疎いのでその真意はともかく、香りの原因物質についてちょっとしたサイエンスがあるとのこと。

白ワインの中に十円玉を入れると、ワインの香りが消えてしまうらしい。

十円玉の材質は銅。そしてワインの香りに大きく関与するのが3-mercaptohexanol(3MH)という直鎖アルコール誘導体。
構造式はこちら↓
禺画像]

ワインの原料となるブドウはもちろんブドウ畑で育てます。
この際、ボルドー液という農薬を用いるそうです。
ボルドー液は塩基性硫酸銅水溶液。銅を含みます。

一方3MHは香り成分で、ブドウの中にはアミノ酸抱合体として存在します。システインとのジスルフィド結合かな?
これが発酵段階において、酵素的に切断され、3MHがフリーになって香りが生まれるそうです。

ブドウ栽培の際に、ボルドー液をあまり使わないで作ると、香り高いワインが出来上がるとのこと。
つまり、ワイン醸造の段階で、土壌からブドウに銅が移行したのか、或いはブドウの皮に付着したボルドー液由来からか、銅が多く含まれていると3MHと銅が結合し、香りが立たなくなる。
銅はしばしば平面4配位構造となりますから、銅原子1個につき、3MHが2分子くっついて安定化するのだと思います。


ワインの良し悪しは原料のブドウによって大きく影響を受けます。
それはその土地の気候や土壌の栄養状態が左右するのですが、土壌中の重金属含量によってもワインの香りは変わるのかもしれませんね。



言い訳。

本当は3MHの銅原子への配位状態と安定構造をMOPACで計算しようと思ったが、なんか収束しなかった。残念。
重金属を含む計算は難しいのか・・・ハミルトニアンはPM3で合ってると思うのだが。
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