今熱く熱く熱く熱く燃え上がる酒
2006-04-15


エタノール[LINK]

基本的な有機化合物にして溶媒、またアルコール飲料に含まれる酩酊状態の原因物質。
酒です。

しかし最近、エタノールを”燃料”として使おうと言う動きが活発になっています。



現在、世界中の産業には石油が欠かせません。
しかし、石油の埋蔵量は当然ながら有限であり、あと数十年もすれば無くなってしまいます。
そのため石油資源の確保は国家間の重要課題であり、そのためにバカな小競り合いも起きています。

特に石油消費の多くを占めるのがガソリン、燃料です。
逆に、この燃料を代替できれば、石油の使用量を大幅に削減できます。



石油に代わるエネルギー源として、自動車分野では様々な取り組みがなされ、幾つかの候補が上がってきました。
そんな中、なぜエタノールなのか。

エタノールの利点、それはバイオマスという言葉で表せます。
エタノールはバイオ、即ち生物由来のエネルギーとみなす事が出来るからです。

エタノールの製法を見てみますと、化学反応によるものと発酵によるものがあります。
科学的にはエチレンにニッケル触媒下で水を付加させて作られます。

CH2=CH2 + H2O ―――→ CH3CH2OH
           cat.(Ni)

発酵によるエタノール製造は、グルコースを発酵させてエタノールを得ます。
所謂酒造りの方法です。

C6H12O6 →―→―→―→ CH3CH2OH
       Fermentation

発酵法だと出来上がりが水-エタノール混合物なので、その後の蒸留などエタノール分離操作が大変だったりしますが、この辺は各分野でいろんな方法が出来てきています。


さて。
エタノールを発酵法で製造できると言う事は、単純に考えるとエネルギーの再生サイクルが成り立つ、という事です。

発酵法の場合、原料の多くはサトウキビです。サトウキビや砂糖は国際的に見て過剰生産状態で、結構余っているみたいです。
つまり原料には困らない、という事です。
太陽の光を浴びてすくすく育ったサトウキビが、ブドウ糖を経てエタノールになる、それを燃やしてエネルギーを取り出す、燃やした時の二酸化炭素はサトウキビに還る、という事です。
効率の問題はありますけど、エネルギーのリサイクルモデルとしては分かりやすい。

世界的なサトウキビ生産国であるブラジルは、エタノールビジネスに相当力を入れていることから、未来の新燃料として期待が持てます。



バイオエネルギーとして注目のエタノールですが、実際に使う場合にはどうなるか。
エタノールを燃料に用いる事にはいくつかメリットがあります。

1.バイオエネルギーである事で、エネルギーのリサイクルになっている。
2.構造中に酸素原子を含むので、燃焼に有利(ドラッグカーレースなどのニトロメタン燃料も、酸素原子が多いからあれだけ良く燃えて爆発的なエネルギーが取り出せる)。

2については少々疑問で、酸素を含むから酸素供給源はありますが、エタノール自体の発熱量はガソリンよりも低いので、燃費は悪いそうです。パワーについても疑問符付です。



もちろんエタノールであることのデメリットもあります。

1.エタノールは吸湿性が高いので、タンクの改造やインフラ整備にお金が掛かる。
2.”良く燃える”から空気中の窒素も燃やし、NOXが発生しやすい。

エタノール、というかアルコールはかなり吸湿性が高く、IPA(イソプロピルアルコール)はタンクの水抜き剤に使われるほどです。そのため貯蔵中に吸湿しないような燃料タンク、またインフラ整備が必要になります。
またNOXが発生しやすいそうで(これには賛否両論あり)、排ガス中のNOX

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