今そこにある命と未来にあるべき命と
2007-08-11


インド高裁によるノバルティスの請求棄却に関して[LINK]
薬事日報[LINK]さま)へのtb。

Summary
グリベック メシル酸イマチニブ(Imatinib mesilate)錠。
慢性骨髄性白血病などの原因となる遺伝子の異状により生じた
遺伝子産物(チロシンキナーゼ)の阻害剤。
の発売元であるノバルティスファーマ社が、インドにおいて物質特許申請を行っていたが、却下された。同社はこれを不服とし控訴したが、8月6日、チェンナイ高等裁判所はこの訴えを棄却。

ノバルティス社は、以下3点を主軸に訴えを起こしていた。

<1>
インド特許法の「既知の物質にマイナーな改良を加えた医薬品については、著しい効果の改善につながるものでなければ特許性を認めない」という表現は曖昧であり、特許承認権限者に専横的な権限を与える事になり、インド憲法につき違憲である。
<2>
物質特許申請に対し却下の裁定を下した特許庁の人物と、特許庁の裁定にについてインド知的財産権上訴委員会(Indian Patent Appellate Board:IPAB)に訴えた際の担当官は 同一人物 当時特許庁に所属し、後にIPAB担当官になったと思われる であり、担当者の変更を要請。
<3>
インドの特許法は他のWTO加盟国の特許法と異なり、TRIPS協定に違反するものである。

この3点につき、チェンナイ高裁は、「インド特許法はインド憲法に違反していない」「WTOの問題は当法廷の裁定権限外である」とした。またIPAB担当官の問題もこれを棄却した。

なおノバルティス社の今回の提訴につき、某国境無きNGO団体など多数から、提訴の取り下げが要求されていた。

この判決について、ノバルティス社の意向は未発表。←いまここ


(内容に不備があるかもしれませんので、ご確認ください)

というものです。
当blogにおいても同様のケースについての記述がありますので、ご参照ください。

命と薬と思想の価値(1)[LINK]
命と薬と思想の価値(2)[LINK]
命と薬と思想の価値(3)[LINK]
ジェネリック医薬品って何者?[LINK]

最初から書くと非常に長いので、上記記事をご一読されている事を前提として始めます。



至極大雑把に背景をかいつまんでみると。

新薬には20〜25年はパテントがあり、ライセンス料の分上乗せされて価格はどうしても高くなってしまう。

特許は基本的に国内法であるが、TRIPS協定により他国であっても勝手に製造販売は出来ない。

しかし、例えば抗HIV薬のように絶対必要であるにも関わらず、新薬が高くて十分に供給できないケースがあるので、TRIPS協定を一部曲げて、パテント期間内であっても、安価に ジェネリック医薬品 ジェネリックとはいうものの、新薬のパテントが終了していないのでコピー薬というニュアンスが正しいかと思われます。
もっともコピーとはいえど品質に関してなんら言及していない事にはご留意下さい。
を製造販売できるようにしよう。
ドーハ宣言
(内容に関してはご確認ください。個人的な所見ですので保証はいたししかねます)

私個人のスタンスとしては、

「ドーハ宣言はあくまで緊急避難的措置である」
です。

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